着物・袴デザイン

女性用袴と男性用袴の構造と着付けの基本的な流れ・コツ

「袴をレンタルする前に構造を理解しておきたい」「着付けのコツを知っておきたい」などと考えていませんか。
袴姿で卒業式などに出席する方は多いでしょう。
袴の構造は、女性用と男性用で異なります。

両者の主な違いは襠(まち)の有無です。
襠は、足の動かしやすさなどに影響を与えます。

ここでは、女性用と男性用にわけて袴の構造、着付けの流れやコツを紹介します。
袴の着用を検討している方は、参考にしてください。

目次

女性用の袴の構造は?

ここでは、女性が主に着用している袴の構造を紹介します。

スカートのような行灯袴

大学や専門学校の卒業式などで、女性は主に行灯袴(あんどんばかま)を着用しています。
名称の由来になっている行灯は、紙を貼った木枠の中に油皿を置いて点灯する照明器具です。
行灯袴は、行灯と同じように裾が広い形をしています。

また、内股部分に襠がなく、二股(右足・左足)にわかれていません。
「簡単に言えば、スカートのような形状といえます。
この特徴から、襠無袴(まちなしばかま)と呼ばれることもあります。

ちなみに、女性がこの後で説明する馬乗り袴を着用するケースもあります。
具体例として、武道用の袴があげられます。
このことからわかるように、袴には性別による明確な区別はありません。

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胸下で帯を結ぶ

美しく着こなすため、意識したいのが帯を結ぶ位置です。
適切な位置で結ばないと、かわいい袴を選んでも全体のバランスが悪くなってしまいます。

帯を結ぶ位置の基本は、バストの下です。
この位置で結ぶと、脚が長く見えるため全体をスマートに見せられます。
お腹を締めつけない点もポイント。
また、卒業式などで長時間着用しても疲れにくいのが特徴です。

一方で、通常のパンツと同じようにウエストで帯を結ぶと、脚が短く見えてしまいます。
胸から腰までの長さが強調されてしまうためです。
通常のパンツとは異なり、袴はウエストの位置(帯を結ぶ位置)を自由に決められます。
着こなし次第で印象が大きく変わる和装アイテムです。
着付けの手順、コツは、記事の後半で詳しく解説しています。

男性用の袴の構造は?

続いて、男性用の構造を紹介します。

ズボンタイプの馬乗り袴

男性が主に着用している袴は馬乗り袴です。
名称からわかるように、乗馬用の袴として用いられてきました。

主な特徴は、高い襠が設けられていることです。
一見するとスカートのように見えますが、二股(右足・左足)にわかれているため、足さばきや裾さばきがしやすくなります。

この特徴から、剣道をはじめとする武道でも馬乗り袴は用いられています。
幅広い用途で活用されている袴といえるでしょう。

ただし、最近では紋付羽織袴に行灯袴を使用する男性が増えています。
襠を気にせず、袴を着用したまま用を足せるためです。

同様の理由で、脚を動かしやすいという点も挙げられます。
和装に慣れていない男性を中心に、利便性の高い行灯袴を選択するケースが増えているのです。

腰の高さで帯を結ぶ

男性用と女性用の袴を比較すると、着こなしのポイントが異なります。
大きな違いの一つは、帯を結ぶ位置です。
それぞれ、以下の位置で帯を結びます。

袴の種類 帯を結ぶ位置
馬乗り袴
行灯袴

 

馬乗り袴は、腰の位置で帯を結ぶのが特徴です。
主な理由は、腰帯に打刀を差して、その上から袴を着用していたためです(袴を着用しないこともあります)。
胸の下で結ぶより、落ち着いた印象、引き締まった印象になります。

着物と袴がほぼ同じ面積で見える点も特徴です。
この違いによっても、異なる印象が生まれます。

女性用と男性用の袴の構造の違い

女性用と男性用には、襠以外にも構造上のさまざまな違いがあります。
主な違いは以下のとおりです。

【女性用と男性用の違い】

  • 腰板の有無
  • 板紙の有無

これらの違いについて解説します。

腰板の有無

腰に当てる台形の硬いパーツを腰板と呼びます。
主な役割は、腰を支えて背筋を伸ばすことです。

女性用には原則として腰板がなく、男性用には原則として腰板があります。
腰板がない女性用は着用時に圧迫を感じにくく、腰板がある男性用は正しい姿勢を保ちやすいといえます。

板紙の有無

女性用は、腰の前後に板紙を入れず着用します。
板紙は、袴の芯に相当するアイテムです。

そのため、ウエスト周りに圧迫感がなく、快適に着用できます。
「他の袴に比べて、着用時の負担が少ないのも特徴です。

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袴の着付け方の手順

続いて、袴の着付けに必要なものと着付けの手順を、女性用と男性用にわけて解説します。

袴の着付けに必要なもの

女性用と男性用では、着付けに必要なものが異なります。
また、着付けをする方によっても必要なものは異なることがあります。

依頼する前に、詳細を確かめておくことが大切です。
ここでは、女性用と男性用にわけて、着付けに最低限必要なものを紹介します。

女性用袴の着付けに必要なもの

女性の着付けで必要なものは以下のとおりです。

【着付けに必要なもの】

  • 袴下帯
  • 着物
  • 長襦袢
  • 肌着
  • 重ね衿
  • 腰ひも
  • 伊達締め
  • 衿芯
  • タオル
  • 足袋
  • 草履

袴下帯は、女性が袴の下に締める帯です。
一般的な帯の半分程度の幅(約15cm)しかありません。
この特徴から半幅帯ということもあります。

主な役割は、着付けの土台となって着用した袴を美しい形状に保つことです。
また、袴からちらりと見えるため、着こなしのアクセントにもなります。
かわいらしく着こなしたい方は、袴下帯にこだわるとよいでしょう。

【関連記事】袴の着付けに必要な長襦袢とは?肌襦袢や半襦袢との違い・選び方を解説

男性用袴の着付けに必要なもの

男性の着付けでは、次のものが必要になります。

【着付けに必要なもの】

  • 角帯
  • 着物
  • 長襦袢
  • 羽織
  • 腰ひも
  • 羽織紐
  • 肌着
  • タオル
  • 足袋
  • 雪駄

角帯(かくおび)は、男性が締める帯のひとつです。
幅10cm前後、長さ4m前後で、フォーマルからカジュアルまで、幅広い用途で用いられています。

主な特徴は、着物がはだけないように、腰でしっかりと締めることです。
カジュアル用途で用いられる兵児帯(へこおび:柔らかな生地で作った普段着用の帯)とは区別されます。
兵児帯に比べて色柄は豊富です。

フォーマルで使用する場合はあまり目立ちませんが、着こなしのポイントとしては意識されます。
全体を引き締める重要な役割を担っています。

女性用袴の着付けの手順

着付けの基本的な手順は以下のとおりです。

【着付けの手順】

  1. 透けることを防ぐため肌着を着用する
  2. タオルを折って胴に巻く
  3. 2を腰紐で留める
  4. 長襦袢を羽織って、裾の位置を膝下に調整する
  5. 左手側が上にくるように長襦袢を着付ける
  6. 襟元を合わせてから伊達締めを結ぶ
  7. 上から着物を羽織る
  8. 背中の中心を合せる
  9. 着物の裾が膝程度になるように調整する
  10. 左手側が上にくるように被せて、位置を決めてから腰ひもを結ぶ
  11. 襟元を整えてから伊達締めで結ぶ
  12. 袴下帯を巻いて結ぶ
  13. 袴の前後を確認する(紐が細いほうが前)
  14. 前の紐をもって、袴下帯が2~3cmほど見える位置に袴を合せる
  15. 腰側で紐を結んでから袴下帯の結び目に通す
  16. 前に回して右前で交差させる
  17. 後ろの袴下帯の結び目の下で結ぶ
  18. 袴の後ろについているヘラを帯、紐の間に差し込む
  19. 右側で前の紐に通してからリボン結びをつくる
  20. 結び目を整える

着物用の肌着がない場合は、襟周りを広めにとった通常の肌着でも構いません。
使用するタオルの枚数は、体型で異なります。
正しく着付けるため、専門的な知識が必要です。

【関連記事】袴が着崩れてしまう原因と着崩れ防止に効果的な方法を紹介

男性用袴の着付けの手順

男性用は、次の手順で着付けます。

【着付けの手順】

  1. 肌着を着用する
  2. タオルを折って胴に巻く
  3. 2を腰紐で留める
  4. 長襦袢を着て、右手側が上にくるように着付ける
  5. 首元を合わせてから腰紐を前で結ぶ
  6. 着物を羽織って背中の中心を合せる
  7. 長襦袢の衿が見えるように調整する
  8. 5と同様に腰紐を結ぶ
  9. 袴の位置を決めてから角帯を巻いて結ぶ
  10. 袴の前後を確認する(腰板があるほうが後ろ)
  11. 角帯がわずかに見える高さに前紐をあてる
  12. 前紐を腰側に回して角帯の上で結ぶ
  13. 前紐を帯に結んでからお腹側にもっていき交差させる
  14. もう一度、腰側に回して帯の下で結ぶ
  15. 腰板のヘラを帯・紐に差し込む
  16. 帯の上に腰板を載せて紐をお腹側に回す
  17. 交差させた紐の下を通して結ぶ
  18. 結び目をきれいに整える
  19. 羽織を羽織る

女性用と同様に、正しい着付けには専門的な知識が必要です。

袴の着付けをする際のコツと注意点

続いて、着付けのコツと注意点を紹介します。

長襦袢の長さを調節する

長襦袢は、肌着の上に着る和装用のインナーです。
次の役割などを担います。

【長襦袢の主な役割】

  • 着物にしわが寄らないようにする
  • 着こなしのアクセントになる

衿や袖からわずかに見える長襦袢は、着こなしのアクセントとして映える役割を果たします。

ただし、裾からはみ出して見えると、だらしない印象を与えてしまいます。
おはしょり(胴部分の折り返し)をつくって、適度な長さに調整しておくことが大切です。

具体的には、長襦袢を着るときに袴を合わせて長さを調整するとよいでしょう。
手間に感じるかもしれませんが、着付け後の調整は避けるべきです。
長襦袢を隠そうとすると、襟元が乱れたり、帯が緩んだりする恐れがあるためです。

裾の長さを調整する

袴の裾の長さも、着付け時に調整しておく必要があります。
次のトラブルなどが生じるためです。

【トラブルの例】

  • 袴から足が見える
  • 裾を踏んで転ぶ

裾の長さは、くるぶしにかかる程度が基本とされています。
足袋をはいた状態で、素足が見えなければ適切な長さといえるでしょう。

ただし、ブーツを着用する場合は、くるぶしより上の長さで調整しても構いません。
丈を短くすることで、ブーツをはいた状態でも、足元をすっきりと整えて見せることができます。

腰回りの補正をする

必要に応じて、腰回りを補正することも着付けのコツです。
以下のケースなどで補正を行います。

【補正を必要とするケース】

  • ウエストが細いため着崩れてしまう
  • 締め付けがきついと感じる

腰回りの補正は、肌着の上からタオルを巻いて行います。
使用するタオルの枚数は、体型によりさまざまです。
薄手のタオルを使用すると、厚さを細かく調整できます。
タオルによる補正は、締め付けによる圧迫感を軽減する効果があります。

【関連記事】袴が着崩れてしまう原因と着崩れ防止に効果的な方法を紹介

帯はしっかりと締める

袴の前紐を袴下帯の結び目にかけて着付けるため、帯をしっかりと締めておくことも大切です。
支えになっている袴下帯がずれると袴もずれてしまいます。

重要なのは、最初の一周をしっかりと締めることです。
締め付け感は、息を吸った状態で袴下帯を巻くと緩和できます。
息を吐くと腹部がへこみ、隙間が生じるためです。
また、補正用タオルの使用でも和らげられます。

一度は着付けの練習をしておく

着付けの手順は多くの工程があり、慣れていないと戸惑うことがあります。
レンタルして自分で着付けを行う場合は、商品到着後には、一度は着付けの練習を行っておくことをおすすめします。

当日に初めて行うと、ガイドがあっても手順通りに進められない、または予想以上に時間を要する場合があります。
手順とともに着付けにかかる時間を確かめておくことが重要です。
練習を繰り返すと、所要時間は少しずつ短くなります。

【関連記事】袴はいつ着るもの?選ぶ際のポイントも紹介

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着付けの前に袴の構造を理解しておきましょう

ここでは、袴の構造と女性用、男性用の違い、着付けの手順などを紹介しました。
一般的な女性用は行灯袴、男性用は馬乗り袴です。

前者には、襠と腰板がありません。
足を自由に動かしやすく、着用時の圧迫感が少ないといった特徴があります。

卒業式用の袴をお探しの方は、レンタル専門店アンジュにご相談ください。
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卒業式当日に、校内で支度を整えることができる学校もあります。

※この記事は公開当時の情報を元に作成されています。 レンタルプラン・商品情報・金額などに関しては年度ごとに異なる可能性があり、 記事内には取り扱いのないサービスが含まれていることがございます。 ご予約の際は最新の情報をご確認ください※

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この記事の監修者

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中田和代

kazuyo Tanaka

《資格》

日本和装教育協会
専門科 高等師範科 修了
教授科 修了
講師資格 (師範)
花嫁科 修了
時代衣装科 修了
プロデュース科 修了

一般社団法人全日本着付け技能センター
着付け技能士1級