着物・袴の選び方
心に残る卒業式を迎えたい女性必見!袴の着方を徹底解説

大学の卒業式には、未来に羽ばたこうとしているご自身の背中を押す、特別な袴姿で参加したいですよね。
とはいえ「袴を着るときには何が必要なのかな」「着付けは自分でもできるの?」と首をひねっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、知っていると役に立つ女性の袴の着方をお伝えします。
素敵な衣装で忘れられない卒業式を過ごしたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
女性が着用する袴にはどのような特徴がある?
本題に入る前に、女性が身につける袴の基本を押さえておきましょう。
袴とひと口に言っても、その種類は一つではありません。
女袴(おんなばかま)や捻襠切袴(ねじまちのきりばかま)、差袴(さしこ)などさまざまです。
このうち、女性が卒業式で着用するのは“女袴”です。
女袴はスカートのような構造になっているのが特徴で、ふんわりと広がるシルエットがエレガントな印象を与えてくれます。
男性用の袴と違い、腰周りを支える腰板や硬い芯がないため「コルセットのように締めつけられて苦しい」「動きにくい」と感じることなく着用できますよ。
また女性の場合は、胸のすぐ下で帯を結んで袴を着用することから、スタイルアップして見えるのも魅力です。
袴の着方を覚えておくメリット
卒業式に袴を着て参加するなら、ご自身でも着付けの方法は覚えておきたいところです。
というのも、動きにくさを感じたり着崩れたりしたときにも対応できるためです。
卒業式当日は、式の開始時間に合わせて早くから支度を始めて、慣れない袴で長時間過ごすこととなります。
プロに着付けてもらったとしても、移動や立ち居振る舞いによりお直しが必要になる機会があるかもしれません。
袴の着方を覚えておけば、こうしたトラブルが起きても安心です。
卒業式はご自身にとって大切な日ですから、最後まで美しい袴姿で心に残るひとときを過ごしましょう。
ただし袴の着付けは、一朝一夕にはできるようになりません。
着崩れを防止しつつ、美しく仕上げるにはコツがいるので、可能であれば練習を積んでおくのがベターです。
卒業式を機に袴の着方をマスターできたら、日常生活でも気軽に和服を楽しめるはずです。
袴の着付けで用意すべきアイテム
ここからは、袴を着付けるときに必要なアイテムを紹介していきます。
「どんなものを用意したらよいのかがわからない」「足りないものは何かあるかな?」と不安に思われる方は、ぜひ参考にしてください。
着物
袴は、和服のように一枚で着るものではありませんので、着物が必要です。
多くの場合、袴の着付けでは“二尺袖着物”という袖丈が短い着物が用いられます。
袖丈が短いがゆえに、動きにくさを感じないのが魅力です。
袴と合わせると、どこか懐かしい雰囲気をまとう“女学生”を演出でき、可憐で活発な印象を与えられますよ。
ただし、必ずしも二尺袖着物を着用しなければならないわけではありません。
袴に合わせる着物に決まりはありませんので、成人式で着用した中振袖やご自宅のタンスに眠っている訪問着など、ご自身の気に入ったものを着用してくださいね。
袴
着物に合わせて、主役である袴も欠かせません。
近年では、刺しゅうやレースがあしらわれていたり、プリーツ部分がバイカラーになっていたりと、さまざまなデザインの袴があります。
袴は、デザインや色によって全体の印象を左右するため、ご自身の雰囲気をガラッと変えてくれるのが魅力です。
着物との柄のバランスや配色、演出したい雰囲気を考えながら選ぶと、まとまりのある素敵なコーディネートに仕上がりますよ。
肌襦袢・長襦袢
着物の下には、肌襦袢(はだじゅばん)と長襦袢(ながじゅばん)を着用します。
汗や皮脂によって長襦袢や着物に汚れがつかないように、肌襦袢の着用は必須です。
肌襦袢には、ワンピースタイプのものとセパレートタイプのものがありますが、どちらも役割は変わらないので、ご自身の気に入ったほうを着用しましょう。
また肌襦袢の上から羽織る長襦袢には、着物を汚れから守るほか、着崩れを防ぐ役割があります。
着物の袖丈に合っていないと、すぐに乱れたり袖口から見えてしまったりするため、ぴったりのサイズを選ぶのが大切です。
半衿
長襦袢に縫いつけて使用するのが、半衿(はんえり)です。
半衿は、お顔にもっとも近い部分につけるものですので、色や柄によって印象が変わります。
たとえば、トレンド感たっぷりのスモーキーカラーの半衿なら、品のある女性を演出できるでしょう。
半衿には豊富なデザインがあるため、よりおしゃれな袴スタイルを作れます。
重ね衿
着物と半衿のあいだには、重ね衿(伊達衿)を挟みます。
重ね衿は、まるで着物を重ね着しているかのように見せるアイテムで、衿元を華やかに彩る目的で用いられます。
カラーバリエーションが豊富なだけではなく、パールやラインストーンのような装飾がついた重ね衿もあるため、袴のコーディネートの幅がグッと広がること間違いなしです。
腰紐・伊達締め・衿芯・コーリンベルト
袴を着る際には、腰紐や伊達締めといったアイテムも必要不可欠です。
まず腰紐は、長襦袢の前合わせを留めたり、着物の丈を調整したりするために使用します。
袴を着付けるときは、最低でも3~5本は準備しておくと安心です。
腰紐と同様の役割を果たす伊達締めは、着崩れを防止する目的で用いられる帯状の紐を指します。
伊達締めには一般的な紐のようなタイプのほか、面ファスナーやクリップがついたものもありますが、いずれの場合も2本あれば問題ありません。
また、衿元をピシッと整える衿芯や、着付けを簡単かつきれいに行うためのコーリンベルトも用意しておくべきアイテムです。
半幅帯
袴に合わせる帯は袴下帯ともよばれる、半幅帯(はんはばおび)を使用します。
浴衣の帯としても使用されており、一般的な着物の帯よりも幅が狭いのが特徴です。
半幅帯は、正面から見たときに着物と袴のあいだからチラッと覗く程度しか見えません。
「あまり見えないなら、何色でもいい」と思われるかもしれませんが、細部にまでこだわることで、より一層おしゃれな着こなしとなります。
正面から見える範囲は狭いものの、横を向いたときには袴の股立(ももだち)の部分からは帯がしっかりと見えます。
コーディネートのアクセントにもなりますから、半幅帯は着物や袴に合う色を選びたいところです。
タオル
袴の着付けでは、体型を補正するためのタオルが活躍します。
美しい袴姿を作るには、胸やみぞおち、ウエストなどの凹凸のある部分をフラットにすることが欠かせません。
ですから、補正用のタオルが大切なのです。
ご自身の体型によって必要なタオルの枚数は異なりますが、目安としては3~5枚程度用意しておくとよいでしょう。
また、タオルは薄い生地が望ましいです。
履物
「袴に合わせるのは、草履とブーツどちらがいいのかな?」と思われるかもしれませんが、結論から言うとお好きなほうで問題ありません。
上品できれいな雰囲気をまといたいなら草履、一方レトロな雰囲気でスタイルアップしたいならブーツがおすすめです。
髪飾り
華やかさをプラスしてくれる髪飾りも、袴の着付けでは用意すべきアイテムです。
髪飾りをつけることで、コーディネートが引き締まり、ご自身の魅力をさらに引き立ててくれます。
アートフラワーやリボン、ヘッドドレスなどを、袴スタイルに合わせて選んでみてくださいね。
【関連記事】卒業式袴にぴったりな髪飾りの選び方を紹介
ご自身でも覚えておきたい!基本の袴の着付け方
袴を身につけるときには、さまざまなアイテムが必要であることがおわかりいただけたのではないでしょうか。
本項では、それらのアイテムを用いて、どのような手順で着付けていけばよいのかをお伝えします。
ステップ①肌襦袢を身につける
まずは、肌襦袢を身につけます。
タイプによって多少異なりますが、いずれの場合もご自身から見て左手側を上に合わせてください。
肌襦袢を着用したあとは、胸元やおなか周りにタオルを当てて、凹凸を補正しておきましょう。
このひと手間が、着崩れ防止にもつながりますよ。
胸元を補正するときはタオルを縦に三つ折りにし、胸の前でV字を作るイメージで両肩に先端を乗せます。
またおなか周りには、くびれをなくすよう縦に二つ折りにしたタオルを巻きつけます。
ウエストよりも少し高い位置で巻き、最後は腰紐で結ぶのがポイントです。
【関連記事】卒業式当日!袴を着るときの下着や服装って?
ステップ②長襦袢を着る
身体の凹凸を補正したら、次に衿芯を通した長襦袢を身につけます。
長襦袢は和服における下着に該当しますので、着物や袴の隙間から見えないように着付けなければなりません。
ですから、長襦袢の裾は短くしておきましょう。
目安としては、膝もしくは膝下の辺りに裾がくるイメージです。
コーリンベルトを使って、長襦袢の内側から右前身ごろを留め、背中を通して左前身ごろを留めます。
衿元を崩さないよう注意しながら、ウエストを腰紐や伊達締めで結びます。
ステップ③着物を着付ける
長襦袢のあとは、着物の着付けに移ります。
まずは着物をはおり、クリップを使って長襦袢と重ね衿、着物をまとめて首のうしろで留めておきます。
このときに使用するクリップは、和服用のものである必要はありません。
洗濯ばさみや大き目のペーパークリップなど、ご自宅にあるもので代用できますよ。
そうしたら、着物を左手側が上、右手側が下になるように身体に沿わせます。
長襦袢と同様に裾を短く調整し、ウエストを腰紐でギュッと縛りましょう。
衿元を整え、右前身ごろと左前身ごろをコーリンベルトで固定したら伊達締めで結んで、この工程は終了です。
ステップ④半幅帯で締める
次に、腰より少し上の辺りで半幅帯を締めてください。
半幅帯を40cm程度とり二つ折りにして肩にかけたら、残りの部分を広げて後ろ側から前に二周巻きつけます。
その後、肩にかけておいた帯と腰に巻きつけたほうの帯を強めに結びましょう。
このとき、長いほうの帯の先端が上側にくるように結ぶのがポイントです。
ステップ⑤帯でリボンを作る
帯をひと結びしたら、リボンを作ります。
腰に巻きつけた長いほうの帯を20cm程度の長さに折りたたみ、リボン型になるようにタックをとります。
きちんと背中の中心にきているかを確認し、短いほうの帯を上から下に通したら、リボン結びの完成です。
ステップ⑥袴を着る
ここまでの準備を終えて、いよいよ袴の登場です。
袴を広げて中に入ったら前側を持ち上げ、帯がおおよそ2cm見える位置で合わせたのちクリップで留めます。
前にある細い紐を背中で交差させて、帯のリボンの上で一度結びましょう。
そのままリボンの結び目に重なるように紐を下ろしたあと、帯の下側でもひと結びします。
リボンにたすきをかけるイメージで紐を結んだら、次は身体の前にもってきて交差させます。
このとき右側の紐を下にしておくのが理想的です。
下から上へと右側の紐を折り返し、両方の紐が同じところを通って再度後ろに回したら、帯の下で蝶々結びにしておいてください。
ステップ⑦袴の後ろ側を調整する
袴の前側が完成したあとは、後ろ側を整えます。
後ろ側の袴を持ち上げて、内側についている白いヘラを着物と帯のあいだに差し込みます。
ヘラを差し込んだら、着物の中心線と袴の真ん中にあるヒダを一直線にそろえるイメージで整えてください。
この部分がそろっていると、より美しい仕上がりとなりますよ。
中心を整えて位置が決まったら、ズレないようにグッと押さえつけて紐を身体の前にもっていきます。
ステップ⑧紐を蝶々結びにして形を整える
最後に、前にもってきた紐を蝶々結びにして形を整えましょう。
紐は左右どちらか、ご自身の気に入ったほうで結んでくださいね。
はじめに左側の紐を上に重ねて、ゆるみのないようにきつく締めます。
その際、前の袴を着たときに交差させた紐の下を通るのがポイントです。
こうしておけば、袴が落ちてしまう心配はありません。
結び目を縦にして蝶々結びをしたら、長いほうの紐を下から上に通しておきます。
この紐を結び目に被せ、袴スタイルのできあがりです。
【関連記事】卒業式袴のレンタルはギリギリで大丈夫?最適な時期も解説
袴の着付けるときのポイント
袴を着付けるときには、押さえておきたい4つのポイントがあります。
以下でお伝えするポイントを意識して、一日中着ても崩れない袴姿を目指しましょう。
ポイント①着物の右前と左前に気をつける
袴を着付けるときのポイントとしてまず挙げられるのが、着物の着方です。
着物は左手側が上で右手側が下、つまり“右前”となるように合わせて着るのがマナーです。
これが反対になってしまうと、亡くなった方に着せる死装束となってしまいます。
着付けの際に、どちらの身ごろを前にすればよいのかがわからなくなったときは、“右手が懐に入るように着る”ことを意識してみてください。
ポイント②袴の前後を確認する
着付けの際には、袴の前後も気をつけておきたいポイントの一つです。
先ほどもお伝えしたように、袴には白いヘラがついています。
これを目印に、ヘラがないほうが前側で、ヘラがついているほうが後ろ側と覚えておきましょう。
ただし、必ずしもすべての袴にヘラがついているとは限りません。
ヘラがない場合は、紐の細さで前後を見分けてみてくださいね。
袴は、前側は細く長い紐、そして後ろ側は太く短い紐なのが特徴です。
ポイント③裾の長さはくるぶしを目安に調節する
袴を着付ける際は、裾の長さにも注目してくださいね。
着崩れを防ぐかつ、袴姿を美しく仕上げるためには、裾の長さをくるぶしの位置に合わせるのがベターです。
袴の裾をかかとの位置で合わせると、引きずったり足で踏んで着崩れてしまったりすることも少なくありません。
反対に裾が短すぎても、サイズが合っていないように見え、映えない袴姿となってしまう可能性があります。
なお、ブーツを合わせるときは、裾の長さをくるぶしの位置から3~5cmほど短くしておくと、バランスよく仕上がりますよ。
ポイント④ヘアメイクは着付け前に行う
着物や袴が汚れるリスクを避けるためにも、ヘアメイクは着付けの前に済ませておきたいところです。
大学の卒業式では、いつも以上に気合を入れて、とびきりおしゃれなヘアメイクにしたいですよね。
また長時間、外にいても崩れないようにヘアスプレーを使用したり、念入りにメイクを施したりするかもしれません。
袴の着付けが終わったあとにヘアメイクをすると、こうした化粧品によって衣装が汚れてしまうことが無きにしもあらずです。
女性の袴の着方を覚えて、忘れられない卒業式を迎えよう!
本記事では、女性の袴の着方をお伝えしました。
ご自身でも袴を着付けられるようになれば、動きにくさを感じたり着崩れてしまったりと、トラブルが生じてもすぐに対応できます。
タオルで体型を補正しながら、肌襦袢や長襦袢を身につけたあと、着物と袴を着付けましょう。
袴を着付けるときには前後を間違えないようにするほか、裾の長さをくるぶしの位置に合わせると、より美しく仕上がります。
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この記事の監修者

中田和代
kazuyo Tanaka